第2章の目的
第1章で
「整形外科的な痛みを除いて、身体の不調の根本部分はほとんど同じ問題が起こっていることが多い」
とお話しました。
- 体の中に有害な毒が溜まる
- 毒が取り除けずに不調体質になる
- きっかけが加わる
- 不調の症状が出現する
という不調の流れを説明しましたね。
ところが、世の中の治療には様々な個別対応の治療があります。
それらは、先ほどの流れでいうと
③きっかけが加わる
もしくは
④不調の症状が出現する
のところに対処をしている対症療法です。
私は10年近く医療現場で仕事をしていますが、
実は医療の多くは対症療法をしていることが多く、根本問題を解決していない
ということを実感していました。
この第2章では、医療現場の裏側と対症療法の限界のお話を中心にしていきます。
- 薬や医療がどのような現状なのかを理解する
- どうして対症療法に限界があるのか理解する
- 根本解決の必要性を理解する
90%以上の人が知らない医療の裏側
私が長く医療現場に在籍していて、感じ取った医療に対しての疑問をここでは書いていきます。
注意してほしいのですが、すべての医療が悪いということではありません。
しかし、
「これは患者さんのためになっているの?」
と思ってしまうようなことも多々あるので、そんなよくある医療現場の光景と、その裏側をいくつかピックアップしてみます。
普通の医師にはマニュアルがある
あなたの医師のイメージってどんな感じですか?
もしかしたら
「日々病気のことを勉強して、最新の研究をしている」
というイメージを持っているかもしれません。
しかし、ほとんどの医師は病気の研究をすることはありません。
病気の研究をするのは大学病院などに勤めて、研究や実験をしている教授や研究者の人達です。
その人たちが日々の研究成果を論文にし、国に認められたものが『治療マニュアル』や『ガイドライン』として現場に活かされます。
しかし、このガイドライン色々な理由から、大きく更新されることはほとんどなく、内容も推奨レベルで表されることが多いです。
(この治療は推奨レベルA、これはBみたいに書いてあります。)
例えば、アトピーのガイドラインでは
アトピー性皮膚炎は多病因性の疾患である.アトピー素因(体質)とバリア機能の脆弱性等に起因する皮膚を含む臓器の過敏を背景に,様々な病因が複合的に関わる事がアトピー性皮膚炎の病態形成に関与する.
~中略~
アトピー性皮膚炎は遺伝的素因も含んだ多病因性の疾患であり,疾患そのものを完治させうる治療法はない.したがって,薬物療法は対症療法を行うことが原則である.しかし,病変部では,皮膚の炎症による表皮バリア機能のさらなる低下や被刺激性の亢進,搔破行為の刺激などによって,湿疹がますます悪化する悪循環が生じうるため,薬物療法で炎症を制御することは,アトピー性皮膚炎の悪化因子を減らすことにもなる.
日本皮膚科学会雑誌第131巻第13号「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021」
と書いてあります。
つまり、アトピーの原因はたくさんあるから、万人に効くような治療法はないよ。
だから、薬物で対症療法をしようね!
しかも薬で対症療法をすることは、結果的にアトピーの悪化を減らすよ!
ってことです。
だからこそ医師はこのマニュアルに従って、薬で対症療法をしようとするわけですね。
では、薬を飲まないで改善することは本当にないのでしょうか?
答えはNOです。
薬を飲まなくてもアトピーが改善することは普通にありますよね。
対症療法をしなくても改善する人が実際にいる以上、100%対症療法しか方法がないということはなさそうです。
たとえ100%とはいかなくても80%以上が改善を実感する方法は色々あるかもしれませんよね。
しかしガイドラインには対症療法をしなさいと書いてある。
医師はマニュアルに従っているからこそ、対症療法をするしかない
ということですね。
・・・これは、考えたくはないですが、薬を処方している限りは売上は一定量継続します。
薬を飲んでいる限り、症状が出ない。
→患者は薬にお金をかけてくれる
→患者の薬がなくなる度に儲かる
根本解決をしてしまったら、儲からない。
そう考えている医師ももしかしたらいるかもしれませんね。
薬で根本解決ができない理由
そもそも薬はどういう役割があるかご存じですか?
「病気や不調を治すんじゃないの?」
と思ったあなた。
もう少し薬のことを知った方がいいです。
ほとんどの薬は身体の反応を抑える、もしくは反応を強くするのどちらかの効果があります。
前者を拮抗薬・遮断薬と言い、後者を作動薬・刺激薬と言います。
もともと細胞には受容体という、細胞に情報を伝達するための受け皿が存在します。
この受け皿に情報を持ったタンパク質がピタッとハマると症状が出ます。
拮抗薬の場合は、受け皿を遮断することによって、情報が伝達しないようにします。
すると本来伝わるはずの
「この症状を出しなさい!」
という指令が細胞に届かなくなるので、症状は押さえられます。
作動薬の場合は、受け皿にピタッとハマるタンパク質と同じような役割を持った物質を多くして、情報を伝達する細胞の数を多くして症状を強くします。
例えば、よく使われる薬として風邪薬の場合は、解熱鎮痛剤として熱を下げたり、のどの痛みなどを抑えてくれます。
本来発熱やのどの痛みなどの炎症症状を出す受容体に蓋をする拮抗薬なわけです。
気管支喘息などに使われる気管支拡張剤は、アドレナリンの分泌を多くする受容体にピタッとハマるので、アドレナリンの分泌量が増えて、呼吸を楽にしてくれる作動薬です。
これらの薬は症状を抑えて辛さを軽減するために非常に役に立つものだということは、これを読んでいるあなたも実感していることと思います。
しかし、薬って本当にいいものなのでしょうか?
というのも、私は医療を学び、様々な健康法を実践したり、人に伝えていく中で、薬の役割に疑問を覚えることが多くなりました。
あなたに質問なのですが、どうして発熱をするのか考えたことはありますか?
発熱は基本的にウイルスや細菌(つまり体にとっての毒)が内々に侵入したときに、免疫力を高めるために起こります。
(ここでは難しいので、サイトカインとかプロスタグランジンとかの話はしません)
つまり、発熱をすることによって免疫力を高めて、毒を排除しているわけです。
この免疫反応が終了すると自然に熱が下がります。
そこに解熱剤を使うと、本来は熱を出さなくてはいけないのに、発熱が制御されて免疫力を高めることができなくなります。
結果的にウイルスや細菌は活性化してしまいます。
ダラダラと風邪が長引いてしまう人は、解熱剤の使用により免疫力が低下している可能性があります。
解熱剤を使うことによって根本の解決をしているわけではないということです。
つまり、解熱剤は不調の流れでいうところの
④不調症状が出現する
に対応している対象療法です。
- 体の中に有害な毒が溜まる
- 毒が取り除けずに不調体質になる
- きっかけが加わる
- 不調の症状が出現する
実は、私自身も薬に頼って過ごしていた期間があります。
何の薬かというと、『点鼻薬』です。
点鼻薬は血管収縮剤という、交感神経を刺激する作動薬です。
私はこの薬を10年以上毎日使っていました。
もともと慢性鼻炎を持っていて、中学生の時に一度レーザー手術をしたことがあります。
しかし、本来二度やらなければならないレーザー手術が苦痛で、一度で終わりにしてしまい、そこまでの改善には至りませんでした。
(当時は自分の鼻炎が不調体質によるものだとは思いもしませんでしたし、親は今でも知らないことでしょう。)
バスケットボールを本格的にしていた私は、呼吸のしづらさによるパフォーマンスの低下が嫌で点鼻薬を使い始めました。
するとどうなったのか。
点鼻薬なしでは鼻呼吸をすることができなくなったのです。
点鼻薬を使うことによって交感神経が刺激され、鼻の粘膜が収縮し呼吸が楽になります。
しかし、この薬を使っていると、自身で血管を収縮させる力が弱くなり、ますます鼻づまりがひどくなります。
鼻づまりがひどくなる→点鼻薬を使う→またひどくなる
の無限ループを10年間です。
このままではダメだと思い、耳鼻科に行って処方されたのは飲み薬でした。
(この時もまだ不調体質に気づいていませんでした)
それまでよりは症状が緩和されたものの、薬を飲んでいないとしんどい状態になりました。
花粉症やアレルギーも発症し、ハウスダストやダニで鼻炎は続き、季節によってはひどい花粉症に悩まされました。
これらの根本原因は、これまで話をしているように
①毒が身体にたまっている(薬や糖、化学物質などが溜まっている)
②毒の取り除けず不調体質になっている(自己免疫力が低下しまっている)
ということなのですが、当時は知る由もなく過ごしていました。
現在は健康体質を意識して生活をしているため、そこまで花粉症もアレルギーもひどくなく、花粉が飛び交う季節もマスクなしで窓を全開にしても症状はでません。
「今年の花粉すごいね」
「花粉症やばいですよ。薬も全然効かなくて。」
なんて会話を聞くたびに、なんだかなーと思ってしまうほどです。
結局、薬というのは根本を解決するわけではないということを改めて理解する必要があります。
抗生物質の怖さ
薬が根本原因を解決しない対症療法であることは理解できたかと思います。
中でもひどいのは「抗生物質」です。
風邪を引いて病院に行くと「抗生物質」を処方されることってありますよね?
この抗生物質ってどんな効果があるかご存じですか?
「炎症を抑えてくれるんじゃないの?」
「よくわからないけど、症状を抑えてくれたり、ウイルスをやっつけたりするんじゃない?」
そんな感じではないでしょうか?
この抗生物質ですが、例えるならばウルトラマン的な存在です。
(僕はウルトラマン見たことありませんが…)
ウルトラマンって正義の味方ですよね。
怪獣に襲われて、ピンチなときに登場して町を救ってくれます。
ところが、ウルトラマンが歩く度に町は破壊されているハズです。
怪獣をやっつけるための仕方のない犠牲と割り切っていたとしても、家や車などを破壊されている人はたまったものではありません。
抗生物質はウルトラマンのように体の中のウイルスや細菌をやっつけるのですが、それと一緒に身体にもともと住み着いていた良い細菌もやっつけてしまいます。
抗生物質の投与によって、腸内細菌のバランスを崩してしまうことが数多くの実験でわかってきています。
腸内環境を整えることは免疫力を高めたり、慢性炎症を抑えたり、ホルモンを分泌するために大変重要なことですから、むやみやたらと抗生物質を使うことは不調体質の要因になりかねないことを覚えておきましょう。
がん治療の実際
薬の話をずっとしてきていますが、最後にがん治療をどのように行っているのかを見ていきましょう。
がんと言えば、現在日本で最も多い死因です。
そんな状況ですが、がん治療に使われる薬はきちんと効果があります。
当然、がんは一時的に収まったり、生存する確率が高まったりすることも稀なケースではありません。
しかし、
「その薬によって他に悪いことが起こらないか?」
と聞かれると、起こりうると言えます。
特に先進医療で使われる高額な薬ほど、何が起こるかわからないことが多いです。
そのがん治療の結果、他の不調を引き起こしていないとは言い切れません。
実際、医者ががんになったとき、素直に標準医療や先進医療だけを受けると思いますか?
そんなことはありません。
医者でさえ、自分ががんになれば、様々な方法を行うことが多いでしょう。
標準医療ではなく、東洋医学の考えをもとにして健康体質になろうとします。
それが、がんの再発や他の病気にならないために必要な事だとわかっているからです。
自分が同じ立場になって不調を起こしたら、薬の投与以外にも絶対気をつかうのに、それを患者に教えることはほとんどありません。
なぜなら、がん治療のマニュアルがあるから。
がんを叩くことだけに重きをおいたマニュアルに従っていては、他の不調を起こしかねない。
けれど、他の不調のことはおいておく。
これが、がん治療の実際です。
整形外科的な問題も対症療法なことが多い
第1章で
「整形外科の問題を除いて不調の根本は同じことが多い」
と説明しましたが、実は対症療法という観点で見れば、整形外科的な問題も対症療法をしていることが多いです。
例えば慢性腰痛。
病院に行くと、湿布や痛み止めを処方されます。
ときには牽引をすることもあります。
(牽引に効果がないことはすでに様々な論文でわかっているのですが、いまだにやっているところは少なくないです。)
リハビリ施設がしっかりしているところであれば理学療法士がリハビリを行います。
「この筋肉が硬いのが原因だから」
と言われて筋肉をほぐされたりします。
整骨院に行くと、骨盤が歪んでいると言われ骨盤矯正を勧められます。
バキッ!ボキッ!
というような音がなることに満足してしまいがちです。
ところが、どのやり方もその場は調子よく感じますが、数時間~数日経つともとに戻り、また腰痛になってしまうことが多いです。
(ちなみに、通常骨盤が歪むことはありません。骨盤はかなり強固なので歪んだ時にはすでに骨折しています。)
さて、なぜもとに戻ってしまうのでしょうか?
そう、根本が解決できていないからです。
痛みが出る機序も不調と同じで、根本問題があります。
慢性疼痛の場合、ほとんどが姿勢制御ができないための、荷重バランスの悪さです。
(ちょっと難しいので、詳しくは解説しません。)
- 体性感覚や筋肉の衰えが起きる
- 姿勢が悪くなり、荷重バランスがおかしくなる
- 体を支えるために歪みが出たり筋肉の張りが出る
- 筋肉の張りのバランスが悪くなり体にストレスが加わり痛みが出る
これが機序です。
つまり、感覚や筋肉の衰えが根本原因で、歪みや筋肉の張りがきっかけです。
根本原因が解決できていないために、症状がもとに戻るわけです。
対症療法の限界
医療の基本は対症療法です。
熱が出たら熱を下げろ
鼻水が出たら鼻水を止めろ
癌ができたら癌を叩け
このように、特定の症状に対して対応していきます。
しかし、それらの治療は症状をどうやって止めるかばかりを気にして、それ以外の不調の部分を軽視しがちです。
先ほどの風邪の例のように、熱を出したから解熱剤を使うという対応をすると、免疫力の低下を招きます。
一時は解熱剤のおかげで楽にはなりますが、結果的に回復を遅らせてしまいます。
結局のところ、一つの症状に対応しようとすると、他の症状が出てきてしまいます。
というのも、根本の問題を解決できていないから。
対症療法には限界があるので、根本解決を目指していくほうがいいということです。
対症療法も時にはいい
ここまでお話すると、
「対症療法は良くない!」
「今の医療はダメだ!」
なんて思ってしまうかもしれませんが、その結論は修正しておきます。
確かに、様々な不調が現代にはあって、そのほとんどが根本ではつながっていますし、
それを無視して対症療法をしている医療機関は多いです。
しかし、対症療法をすることで一時的に楽になり、救われることも多々あります。
問題なのは根本問題の解決をしていないことであって、対症療法をすることが悪いということではありません。
対症療法をいつまでも続けていると、身体はどんどん依存し、自己治癒力も低下していきます。
不調の対処に痛み止めを飲むだけで他のことをしていなければ、いつまでも不調はなくなりませんし、薬に依存するだけです。
ときに対症療法を利用しつつ、根本の問題を解決して健康体質を目指してくださいね!
まとめ:時には対症療法を駆使して根本解決を目指そう
いかがだったでしょうか?
今回の章であなたは以下のことがわかりました。
ほとんどの医師は、自分たちで実験をしたり論文を書いたりするわけではなく、マニュアルに従って治療をします。
医療は対症療法を基本にして治療を進めるため、薬の処方がメインになります。
ところが、対症療法の裏には何かしらの副作用が隠れています。
本来であれば、その症状が出して体は対応しているのに、薬によって制御されてしまうことも多々あります。
対症療法をしているだけでは根本から健康とは言えません。
かと言って、対症療法が悪というわけでもありません。
対症療法もうまく利用しつつ、根本から健康になることが重要です。
それを覚えておいてくださいね^^
それでは次の章でお会いしましょう!