第4章の目的
第3章では、『進化医学』の観点から、文化の発展に対して私たち人類の進化が追い付いていないことによって、現代の不調が起きていることを説明しました。
第4章では、いよいよあなたが健康体質を実現するために何をしていけばいいのかのお話をします。
あなたが今後健康体質になるための具体的な4ステップを説明し、その中の数ステップの解説をしていきます。
- 健康体質になるためにあなたがやることを整理する
- 4ステップを実行できるように理解する
健康体質を実現するための4ステップ
これまでのことを振り返って、不調の原因とやるべきことをまとめてみます。
- 体内に毒が溜まっている
→身体にとって良くないものを摂取しすぎている
=>溜まった毒を減らして慢性炎症を抑える - 毒を分解できず慢性炎症を起こしている
→分解する能力、炎症を抑える能力が低くなっている
=>慢性炎症を起こしづらい体にする
上記の黄色のマーカーで書いてあるところが、あなたのやるべきことです。
古代(狩猟採集時代)に合わせて進化している私たちの体では適応できないことに注意をしていく必要があります。
現代文明で健康に生きていくためには、心技体+環境を整えることが重要になってきます。
具体的には以下の4ステップを提唱しています。
- 毒の摂取量を減らす
- 毒をとっても大丈夫な体質にする
- メンタルとマインドを整える
- 健康を維持する
4ステップの全てを細かく解説すると、とてもとても読み切れない量になりかねないため、第4章は前編、後編で分けて解説していきます。
4ステップ①:毒の摂取量を減らす
4つのステップの1つ目は「毒の摂取量を減らす」です。
実はこのステップが最も大切といっても過言ではありません。
どんなに健康な体になったとしても、毒を摂取している限りは慢性炎症をいつ起こしてもおかしくない体になります。
まずは毒を一気に抜いて、その後健康になってきたらどれくらい摂取しても大丈夫なのか確認して、許容量を自分で見極めていきましょう。
毒の摂取量を減らすために意識すべきことは
- 糖質を摂りすぎないようにする
- 人工化合物は摂らない
- 植物油の使い過ぎに注意する
- たばこ・酒は百害あって一利なし
- ワクチンも時には毒になる
- 薬は必要以上使わない
これです。
それぞれ解説しますね。
糖質を摂りすぎないようにする
毒の摂取量を減らすうえで最も大切なのは、食事です。
当然と言えば当然ですよね。
当たり前ですが、普段摂取しているものから私たちの体はできています。
中には、毒だと気がつかないものがたくさんあります。
代表的なもので言えば、糖質です。
糖質と言えば、タンパク質・脂質とともに3大栄養素になっている「炭水化物」の成分の1つです。
「糖質を摂らないとエネルギーが出ないよ!」
「ごはんいっぱい食べようね!」
「疲れたときは脳に糖分を補給するといいよ!」
の糖質ですね。
ところが、糖質の摂りすぎは身体によくないことがわかっています。
糖質制限が2010年くらいからずっと流行っていますが、全く廃れる気配がありません。
世界保健機関(WHO)のガイドラインでも糖質は生涯にわたって減らすことを強く推奨しています。
(参照:Guideline: Sugars intake for adults and children)
第3章では、進化医学の考え方をベースに狩猟採集時代と現代の比較をして、現代の不調が時代の変化によるものだということを説明しました。
では、狩猟採集時代に糖質を摂ることはできたでしょうか?
答えはNOでしょう。
狩猟採集時代には糖質というのは大変貴重なものでした。
そのため私たちの体は糖質を摂取するとドーパミンが出るようになっています。
ドーパミンとは何かを達成したときに出る報酬系と言われる脳内で快楽を伝える物質です。
ドーパミンがあるから、私たちは何かを達成したときに清々しい気持ちになりますし、競争の際により結果を出そうとする原動力になります。
糖質を摂取した際にドーパミンが出るということは、貴重な栄養を摂取するための原動力として必要なことだったわけです。
しかし、昔は手に入りづらかった糖質も現代の日本では簡単に糖質が手に入ります。
簡単にドーパミンが出てしまう環境にあるのですから、中毒になります。
結果、糖質の過剰摂取により体内では慢性炎症を起こし、生活習慣病をはじめとした様々な現代病を引き起こすのです。
砂糖・小麦・白米の3つは白い悪魔と言われるほど体に害をなすものとされています。
もしもこれらを食べたいのなら、せめて黒糖や全粒粉、玄米にしましょう。
これらは黒い糖質と言われていますが、栄養があるため幾分かマシです。
砂糖に関してはアガベシロップやハチミツで代用するのもいいでしょう。
エネルギーになりやすい糖質なので蓄えずに済みます。
第3章でも少し触れたのですが、痩せている人は糖質制限のし過ぎに注意です。
糖質制限をする(というかエネルギーを足りなくする)と、体内の脂肪をエネルギーに使います。
痩せている人は脂肪が少なくエネルギーが枯渇して低血糖を招くことがあります。
また、糖質は取らなくてもいいのですが、炭水化物のもう一つの要素である「食物繊維」は摂取したほうがいいです。
食物繊維は吸収されるわけではありませんが、腸内細菌の餌になります。
腸内環境(腸内フローラと言います)が整うと、ホルモン分泌促通、免疫力向上、慢性炎症軽減などが期待できます。
人工化合物は摂らない
糖質は摂らないほうがいいとなると、今度は
「糖質0飲料ならいいですか?」
と聞かれることがあります。
確かに人工甘味料であれば糖質ではありませんし、カロリーも0になるので大丈夫のような気がします。
しかし、これは製作会社側の罠です。
実は人工甘味料は、糖質としては吸収されませんが、消化系で分解されづらいです。
それだけならまだしも、分解されなかった分は、そのまま外に出ることなく肝臓に溜まります。
すると肝機能が低下し、慢性炎症を起こします。
不調体質一直線ですね。
また、人工甘味料は安く作れるため、糖質を使った飲料よりも安く手に入る傾向にあります。
「通常より安く、さらに糖質も摂ることがない魅力的な商品ですよ!」
と知識が足りない顧客を罠に嵌めようとしているのです。
安いかつカロリーも少ないからと安易に人工甘味料を使用したゼロカロリー飲料に手を出すことはやめましょう。
植物油の使い過ぎに注意する
食事の際に植物油に気を付けたことはありますか?
「コレステロールが少ない油を使ってる!」
とか
「オリーブオイルを使うようにしてる」
など、色々と気を付けている人もいれば
「全然気にしてない!」
という人もいます。
実はこの植物油、慢性炎症を減らすうえで大変重要なポイントとなる成分が入っています。
それは『リノール酸』です。
このリノール酸、必須脂肪の1つなのですが、摂取しすぎると体内の炎症を非常に起こしやすくしてしまいます。
リノール酸は脂肪の中でもオメガ6脂肪酸というものに分類されますが、オメガ6脂肪酸は炎症を起こすことが多い脂肪です。
(※一部は炎症を抑える役割もあります)
元々リノール酸は体に良い油とされていましたが、研究が進み摂取しすぎるとアラキドン酸という炎症を起こす成分に変わってしまうことがわかりました。
50年以上前、戦後の日本は全体的に栄養不足に陥り、
「もっと栄養をとれ!」
という方針となりました。
その方針が油をとることだったのですが、結果的に今日に至るまで多くの人がリノール酸過多に陥ってしまったわけです。
リノール酸がどのような油に多く含まれていか表を作ってみました。
1日の摂取量の目安は5g~10gです。
例えば、ごま油を13g使うだけで、もう摂取量です。
マーガリンを10g使うと1gのリノール酸です。
1日5g以上のリノール酸を摂取してしまうと、炎症を起こしやすくなります。
普段から摂取するリノール酸の量を減らすだけでも慢性炎症は減っていきますので、植物油には気を付けてくださいね!
タバコ・酒は百害あって一理なし
合法ではありますが、体に悪いと誰もがわかっているものがありますね。
そう、タバコと酒です。
タバコが肺がんのリスクを大きく上げることは、もはや言うまでもありません。
最近では紙タバコを吸っている人はかなり減り、アイコスやグローなどの加熱式タバコに切り替える人が増えました。
「加熱式タバコならタールが少ないし、健康は問題ないでしょ」
というような安易な発想に至る人も少なくないようです。
しかし、
「タールが悪いからタールのない加熱式タバコにしよう!」
というのも、人工甘味料と同じく、製作側のトラップと言えます。
ニコチンは脳の快楽物質生成を促進し依存症を高めますし、発がん性物質も普通に体内に入ります。
そもそも、加熱式タバコは元々自然にあるものではないです。
進化医学の観点からしても、摂取していいものではありません。
酒についても同様です。
酒も狩猟採集時代にはなかったものです。
中国の考古学者が発見したもので紀元前7000年には酒を飲む習慣があったことがわかっていますが、これはすでに農耕文化が始まった後のことです。
「でも酒は百薬の長って言うでしょ?」
と言われることがあります。
確かに酒は百薬の長という言葉がありますが、これはかつての中国の王朝である新の皇帝王莽が国庫を潤わせるために発した言葉です。
元々酒を飲む習慣は王族や貴族にしかなかったものですが、民間人に売って儲けるために
「酒を少量でも飲むと病気にならないよ⭐︎」
と言ったことが起源になっています。
(実際にこう言ったかは知りませんが)
酒は百薬の長というのは全くの出鱈目ということです。
ワクチンも時には毒になる
近年、ウイルスの影響もあってワクチンの話題が多くありました。
ワクチンといえば、弱いウイルスを体に入れて免疫力を高めるための薬ですね。
ワクチンを摂取しておくことで防げる病気は数多くあります。
ところが、時にワクチンも毒になります。
ワクチンには
本物のウイルスや細菌を弱くした生ワクチンと
人工物で作った人工ワクチンの2種類があります。
弱くなっている生ワクチンは、元々自然に存在しているものが弱くなっているだけですから、それほど問題になることはありません。
問題なのは人工ワクチンの方です。
人工ワクチンも薬同様、狩猟採集時代にはなかったものです。
それが体内に入ることによって、他の不調を招く可能性があるわけです。
ワクチンも時によって毒になりかねないことを覚えておいてください。
必要以上に薬を飲まない
薬の機序は第3章でもお伝えした通りです。
薬の基本は対症療法です。
症状を抑えるために身体の正常な反応を阻害したり、本来使わなくていい機能を促進させたりします。
薬を使用することで、一時的に症状は良くなるかもしれませんが、それによって別の症状の要因となる可能性があることも頭の片隅に置いておきましょう。
②毒をとっても大丈夫な体にする
ステップの2つ目は
「毒をとっても大丈夫な体にする」
です。
毒は極力体の中に入れないことが重要ですが、ある程度の毒であれば体で処理ができます。
毒を処理できないと身体は炎症反応を起こします。
この炎症をできるだけ防げる体にすることがステップ②の目的です。
炎症を防げる体質になるためには次のことを意識するといいです。
- 腸内環境を整える食事をする
- 睡眠の質を高める
- 習慣的に運動をする
- 冷水シャワーをする
- 呼吸トレーニングをする
ではそれぞれ解説していきます。
腸内環境を整える食事をする
①の話でさんざん食事に気を付けろと言われたのに、まさかのここでも食事の話になります。
それだけ、人にとって食事というのが大切だということです。
さて、先ほどは毒を取り除く目的で、【何を食べないか】という視点からお話をしましたが、ここでは慢性炎症を抑えるために【何を食べるといいか】というお話をします。
具体的には腸内環境を整えることを意識した食事を意識すると良いです。
腸は消化吸収をする役割の他にも、免疫力を高めたり、ホルモン分泌を助けたりする役割があります。
その効果の幅広さから『第二の脳』と言われるくらい優秀な臓器です。
腸の機能は基本的に、そこに住んでいる腸内細菌の力が大きいです。
腸内細菌は消化を助けたり、人が作れない栄養を作ってくれる役割があり、その数は100兆個とも言われています。
人間一人に住んでいる腸内細菌の重量は1.5㎏にもなります。
生まれながらにして腸内に住んでいる腸内細菌は、人にとって大変助けになっており、人生のパートナーとも言えますね。
しかし、そのパートナーを知らないうちに傷つけている人も多いです。
- 抗生物質
- ストレス過多
- 睡眠不足
- 食物繊維不足
- 小麦過多
- 酒
これらは全て腸内環境を悪くすると言われているものです。
これらを避けて、食物繊維や発酵食品を多く摂取できるように心がけましょう。
睡眠の質を高める
「睡眠は大切です。」
こんなこと言われなくても知っている人がほとんどですね。
睡眠は炎症を抑えてくれる他、体調を整える大切な役割があります。
睡眠の質を高めることで慢性炎症やストレスも減り不調を感じない体質になっていきます。
睡眠の質を高めるためには次のことを意識してほしいと思います。
- 最初の90分を大切にする
- 寝る30分前に電子機器を使わない
- 寝る90前に入浴を終わらせる
- 寝る3時間前に食事を終わらせる
- アラームは2回にわけてかける
入眠後の最初の90分がもっとも深い睡眠になります。
そのために、寝る30分前に電子機器を使わない、
寝る90分前に入浴を終わらせる、
寝る3時間前に食事を終わらせる
ということを心がけましょう。
スムーズに入眠するためには、身体が暖まったところから、ほどよく冷えることが大切です。
そのため、入浴できちんと身体を暖め、90分かけて身体を自然に冷やすのです。
すると眠気が来て、スムーズに入眠することができます。
22時から2時の間にちょうど成長ホルモンが分泌されるので、この時間に合わせて寝ることができるとより良いです。
習慣的に運動をする
「健康のために運動をしましょう!」
なんとも当たり前すぎて嫌気がさしてきますね笑。
しかし、運動はやはりとても良い習慣なのです。
運動している人としていない人では、精神的な安定度も炎症レベルも違います。
運動をすることで慢性炎症が改善していくという研究結果は数多く出されています。
1日10分程度のウォーキングでも炎症レベルは下がっていくので、ぜひ実践してください。
冷水シャワーを行う
「健康になるためには冷水シャワーがいい!」
と言ったら信じますか?
実は冷水シャワーを浴びることが体質を改善していくことが分かってきています。
冷水シャワーを浴びると褐色脂肪という通常の脂肪とは違うエネルギー効率の良い志望が増え、風邪を引きづらくなることが研究で分かってきています。
さらには自律神経の機能を高め、炎症を少なくし、健康体質を作ってくれます。
冷水シャワーの浴び方ですが、温冷交代浴を推奨しています。
温冷交代浴というのは、熱いお湯と冷水シャワーを交互に行うことです。
まずは普通に体を洗います。
2~3分お湯で暖まり、冷水シャワーを30秒~1分浴びます。
再び、お湯に1分程度浸かって、また冷水シャワー。
これを何セットか行って、最後は冷水シャワーで浴室を出ます。
やってみるとわかりますが、身体がポカポカして血流がよくなっていることがわかります。
冷水シャワーは1日30秒だけでも効果が出るという報告もあるので、ぜひやってみてください。
呼吸エクササイズを実践する
呼吸には自律神経と整えたり、細胞内の酸素濃度を高める効果があります。
質問ですが、最後に深呼吸をしたのはいつですか?
おそらくほとんどの人が
「覚えていないよー」
「そんなの忘れちゃった☆」
と回答することでしょう。
深呼吸をせず、浅い呼吸を繰り返していると、肋骨の広がりも悪くなり、姿勢も悪くなっていきます。
深呼吸をすることには実はメリットがたくさんあるわけです。
呼吸の仕方でおすすめなのが3つほどあります。
- 腹式呼吸
- 胸式呼吸
- 息止め呼吸
です。
まず腹式呼吸ですが、これは言わなくてもわかるかと思います。
吸った際、おなかに空気を入れるようにして、吐くときはおなかをへこませていきます。
深い呼吸がしやすくなり、副交感神経が活性化していきます。
息を吸うときは4~6秒、吐き時はその2倍の8~12秒かけるといいです。
続いて胸式呼吸です。
先ほどの腹式呼吸のようにおなかを膨らませるのではなく、おなかをへこませ、肋骨が広がるように空気を吸います。
腹式呼吸ほど空気が入る感覚はないですが、姿勢が良くなっていき、呼吸がしやすくなることがわかるかと思います。
胸式呼吸をすることで肋骨が広がり、呼吸もしやすくなるうえに姿勢もよくなります。
呼吸の秒数は腹式呼吸と同様でOKです。
最後に息止め呼吸です。
この呼吸はギリギリまで息を止めるので、入浴中や運転中には行わないでください。
まずは普通に30回呼吸をし、最後軽く吐いたあとにできるだけ息を止めます。
全然できない人だと30秒程度で苦しくなってしまうかと思います。
しかし、続けていると1分とか2分とか息を止められるようになっていきます。
すると、細胞内の酸素濃度が高くなり、疲れづらくなったり、炎症を起こさない体質
になっていきます。
第4章前半のまとめ
いかがだったでしょうか?
ステップ②までで第4章の前編はおしまいで、続きは後編でお伝えします。
最後に、ステップ②までのまとめをして前編を終わりにしましょう。
第4章では健康体質になるためのステップについて解説しています。
やるべきことをおさらいすると
- 体内に毒が溜まっている
→身体にとって良くないものを摂取しすぎている
=>溜まった毒を減らして慢性炎症を抑える - 毒を分解できず慢性炎症を起こしている
→分解する能力、炎症を抑える能力が低くなっている
=>慢性炎症を起こしづらい体にする
ですね。
そのためのステップがこちらです。
- 毒の摂取量を減らす
- 毒をとっても大丈夫な体質にする
- メンタルとマインドを整える
- 健康を維持する
ステップの1つめが毒の摂取量を減らすことです。
健康においては、何をすべきかではなく、何を減らすかの方が重要です。
いくら健康体質になっていても毒を摂りすぎているとさすがに調子は悪くなります。
毒の摂取量を減らすために意識すべきことは
- 糖質を摂りすぎないようにする
- 人工化合物は摂らない
- 植物油の使い過ぎに注意する
- たばこ・酒は百害あって一利なし
- ワクチンも時には毒になる
- 薬は必要以上使わない
これです。
ステップの2つめが毒をとっても大丈夫な身体にすることです。
慢性炎症を起こさない健康体質になっていれば、その後も不調は出ませんからね。
炎症を抑えるためには
- 腸内環境を整える食事をする
- 睡眠の質を高める
- 習慣的に運動をする
- 冷水シャワーをする
- 呼吸トレーニングをする
これらを意識するといいということでしたね。
ここまでで第4章の前編はおしまいです。
続きは後編でお話しますので、ぜひ楽しみにしていてください!